芝川ビル「建物語」

「マンホール扉」の正体

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芝川ビルの金庫室にある、床から高さ140cmの壁面に設置された小さな扉。
「マンホール扉」という名称であることを先の金庫室についての記事でご紹介しましたが、一体全体、どうしてこんなに不便な「扉」なのでしょう。
この「マンホール扉」に類する小型扉は、芝川ビルのみならず他の近代建築の金庫室にも見られるものだそうで、某銀行の金庫室なんて梯子をかけなければ届かないほどの高さに小型扉が設置されているのだそうです。
盗難防止のため?・・・と思うも、この小型扉しかないのならともかく、大きくて立派な扉もちゃんとあるから少し変な話。
この解けない謎を会う人会う人に質問していたところ、本店(近代建築)の金庫室にやはり小型扉があったという某銀行出身の方からとても貴重なお話を伺うことができました。
その方のお話では、この小型扉、なんと!
「予備用の扉」
なのだそうです。
「鍵のみならず、ダイヤル式の錠によって厳重に開閉される金庫扉だが、機械のこと、時に不具合を起こして扉が開かなくなってしまうことがある。そうなると大変で、あれだけ頑丈な扉をまさか蹴破る訳にもいかず、壁ごと切り取るといった大事に至りかねない。そこで予備用の扉を設置し、いざという時にはそこから人が入って内側から金庫扉を開けた。私が銀行にいた頃には、定期的に(小型扉の)点検を行っていました。」とのお話。
なるほど・・・まさに「マンホール(=人が出入りする穴)」!!納得です。
でも、それならもっと大きくて、場所も出入りしやすい場所にあっても良いのでは?との問いに対しては、「盗難対策というよりも、浸水を気にしたのではないか。」とのお答え。
確かに、芝川ビルに関して言えば地下に金庫室があり、浸水の可能性もなきにしもあらず、ですが・・・。
よその金庫が一体どうなっているのかにも俄然興味が湧いてきましたが、
まだまだ謎の深い「マンホール扉」。
その正体にお詳しい方がおられましたら、是非ご教示下さい。
 
  * * 追記 「マンホール扉の正体、暴かれる」 *  *
後日、株式会社大谷金庫本店の方にご来館いただいた際、
この「マンホール扉」について以下のような解説を伺うことができました。
・「マンホール扉」は金庫扉が故障した際の非常口である。 
 非常時に「マンホール扉」より金庫室内のものを取り出したり、
 或いは閉じ込められた人の脱出口となった。
 また、室内からは比較的容易に金庫扉を修繕し、空けることができた。
・「マンホール扉」があのように高い場所にあるのは、
 壁面に少しでもたくさんの物が置けるからといった単純な理由からだった。
・地下に金庫室がある場合、「マンホール扉」に大きな扇風機のような換気扇を嵌め込んで、
 換気を行うこともあった。
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金庫室、ご開帳~!



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