芝川ビル「建物語」

特集展示「大阪が生んだ偉才 建築家・中村順平」

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中村順平は、大阪出身の建築家で、日本人として最初にボザール(パリ国立最高美術学院)に入学し、フランス政府公認建築士(D.P.L.G.)の資格を取得した人物です。建築の芸術的側面と「手の修練」(建築図画)を重視し、日本の伝統建築に根ざした独自の建築芸術論を展開。室内装飾や壁画など多くの作品を生み出す一方、教育にも力を注ぎ、建築家を養成する私塾・中村塾を開いて、多くの弟子たちを育てました。
展示は図面やスケッチが中心ですが、その圧倒的な画力と絵画のような美しさには、思わず息を呑みます。中村は、戦後、「東京駅ROT待合室壁面彫刻」や「横浜銀行本店壁面彫刻」(現在は、横浜市営地下鉄みなとみらい線 馬車道駅に移設保存)など、多くの建築の壁面装飾も手掛けましたが、特に、鉛筆の一本一本の線にまで気迫がこめられた、前者の原寸大下絵は圧巻です。
中村は、自らが育てた弟子との競作もしばしば行いました。実は、「芝川ビル」のお隣に建つ「新芝川ビル」を設計した圓堂政嘉(えんどうまさちか)も中村塾の塾生で、今回の特集展示では、圓堂が設計、中村が壁画を担当した「祇園会館」や「山口銀行本店」(1965年に日本建築学会賞を受賞)についても触れられています。
芸術としての建築が堪能できるこの特集展示。ご興味のある方は、是非、足を運んでみて下さい。
■第47回特集展示「生誕120年 大阪が生んだ偉才 建築家・中村順平」
期間:2007年5月30日(水)~7月9日(月)
場所:大阪歴史博物館 8階特集展示室
※期間中は、学芸員の方による展示解説や、なにわ歴博講座「建築家・中村順平の生涯と作風」も開催されます。詳しくは大阪歴史博物館ホームページで。



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