芝川ビル「建物語」

幻の「伏見町食堂」

2008年09月05日

ドライエリアの記事を書くにあたり、かつての芝川ビルの外観写真を見ていて気になったのが、ビル東側入口前の看板とおぼしき設置物。 目をこらして見てみると・・・ 「伏見町食堂」の文字が!! 確かに芝川ビル地下の一室、現在の「RIVE GAUCHE」さんのお部屋には、設計時「公衆食堂」が計画されていました。 ▼芝川ビル 地階平面図 竣工時の地階の写真もこの通り、まさに「食堂」の風景です。 この食堂は、二年...

成長する?!ドライエリア

2008年08月07日

先日、芝蘭社家政学園の入学案内パンフレットを眺めていた時のこと。 そこに掲載されている芝川ビルの外観写真を見た当社社員の一言。 「これはいつの写真?ドライエリアがないね。」 ドライエリアとは、地下室の外壁に沿って掘られる外堀のこと。この空間に窓を設置すると外気、外光の採取が可能になり、地下であるという閉塞感がずいぶんと緩和されます。 慌てて写真を確認してみたところ、確かに、伏見町通側(写真左手○印...

図面から見た芝川ビル 
~「芝川ビル モダンテラス」編 ~

2008年07月18日

芝川ビル4階のレンタル・スペース「芝川ビル モダンテラス」ポルティコのこの壁面。 丸印のあたり、何かおかしいと思われませんか? そう、まるで何かを塗りこめた跡のような・・・。 うーん、におうぞ、におうぞ〓!!という訳で、表面を覆っている板を撤去したところ、出現したのはなんと鉄扉つきの窓。   でも、実はこの窓の存在、ミステリー調に推理しなくても図面を見れば一瞬のうちに明らかになるのです。 ▼4階ポ...

塗装の威力

2008年07月18日

ここのところ、テナントさんのオープンが続く芝川ビル。お客様の出入りがあり、以前に比べて人目に触れることが増えて来る中で気になり始めたのが、塗装の剥落が激しく、汚れも目立つ共用部分の天井と壁面です。 ▲塗装前の壁・天井の様子。  全体的に黄ばみ、所によって塗装面がパリパリと剥がれかけています。 芝川ビル81年の歴史の中で、当然、過去に何度か塗り直しは行われていたのですが、この度はできるだけ竣工当時に...

図面から見た芝川ビル ~ファサード編~

2008年07月09日

近代建築は、建物それ自体もさることながら、その“図面”もとても魅力的です。 現在のようにコンピューターがない時代、図面は手描きで作成されていましたが、細部装飾やタイルの割付まで描く建築家の圧倒的な筆力は我々を驚かせ、また彩色された透視図は名画のように美しく、思わずため息が漏れてしまいます。 今そこにある建物さえ上手に描けないのに、まだ見ぬ建物をあんなにリアルに描くなんて・・・と驚嘆せずにはいられま...

魅惑の小部屋、その見所

2008年06月27日

芝川ビル1階103号室に、この度、ショコラティア「TIKAL」がオープンし、せっかくたくさんの方にこのお部屋をご覧いただけるようになったので、今回はその装飾の見所についてご紹介していきましょう。 ▼床のタイル 玄関と同じ、三色のタイルによる「タイルモザイク」。 3色5種類のタイルを複雑なパターンで並べ、単調に陥ることを上手に避けています。 竣工当時、この103号室は「客溜り」としてお隣の「事務所」...

消防訓練(?!)の巻

2008年06月16日

芝川ビルには、建設当初から設置されたと思われる「防火シャッター」が残されています。長い間“開かずのシャッター”ならぬ“開きっぱなしのシャッター”だったのですが、この度シャッターの開閉実験が行われることとなりました。                      *  *  *  *  * 芝川ビルの防火シャッターは、地下〓3階は正面階段に、4階はポルティコへの出入口にそれぞれ設置されています。 1階の...

「マンホール扉」の正体

2008年06月11日

芝川ビルの金庫室にある、床から高さ140cmの壁面に設置された小さな扉。 「マンホール扉」という名称であることを先の金庫室についての記事でご紹介しましたが、一体全体、どうしてこんなに不便な「扉」なのでしょう。 この「マンホール扉」に類する小型扉は、芝川ビルのみならず他の近代建築の金庫室にも見られるものだそうで、某銀行の金庫室なんて梯子をかけなければ届かないほどの高さに小型扉が設置されているのだそ...

金庫室の“秘宝”

2008年06月06日

前回ご紹介した芝川ビル地下の金庫室。 こちら、実は数年前までは物置代わりに利用されていました。 昨年、レストラン「リブ・ゴーシュ」さんがオープンするにあたり、同じフロアにある金庫室内もついでに整理・調査されることになったのですが、結局、皆が期待していた(?)「金めのもの」は見当たりませんでした。 そもそも、芝川家の事業(不動産運用)用であったこの金庫室は、戦前も“札束の山”というよりは、美術品や大...

金庫室、ご開帳~!

2008年06月06日

芝川家の事業を行う本店事務所として建てられた芝川ビルには、 地下に立派な金庫室があります。 ひっそりと秘められていた?この金庫室を、今回は皆様に大公開いたしましょう。                    *  *  *  *  * まずは入口から。 この立派な鉄扉!!16cm以上の厚さがあります。 「金庫室」の威厳に溢れていますね。 扉内側には「東京 大谷製」の銘板が。 この鉄扉は明治26(18...

どんな会話の通り道?

2008年06月06日

芝川ビル共用部の壁面には、不思議な穴があります。 1階には4つ。 地下、2〓4階にはそれぞれ1つずつ。 しかも1階、4階以外には「おしゃぶり」みたいな蓋つきです。 地下に設置されたもの 2階に設置されたもの。蓋をとるとこんな感じ。 各階の穴は、ほぼ同一垂直線上にありますが、 その正体は・・・ ズバリ「伝声管」なのです。 「伝声管」とは、電気やガスといった一切のエネルギーを使うことなく長い管を通して...

小さな 小さな エレベーター

2008年06月06日

芝川ビルの各階には、小さな小さなお部屋があります。図面で見ても名称がないことから、当初「これは何?」「物置では??」などと勝手な想像を膨らませていたのですが、実は小さな小さなエレベーターだったのです。 そう。竣工当初の芝川ビルにはエレベーターがありました。第二次世界大戦中の金属供出で失われてしまいましたが、エレベーターシャフトは今も各階に残っています。仕様書や図面などの当時の資料を紐解きながら、在...

4階 トイレのタイルの由来

2008年04月01日

レンタル・スペースとして運用されている芝川ビル4階ですが、トイレがとても古く、男女兼用で、設備の更新が以前からの懸案事項でした。 歴史を重ねた古びた味わいを評価いただいているこの建物ですが、皆様に快適にご使用いただくためにも、やはり設備の更新は必要だと、この度、トイレの改修工事を実施いたしました。 女子トイレの様子 男子トイレ洗面台の様子 現代的な設備で再生したトイレですが、ここで目に留まるのが、...

芝川ビルの謎Ⅰ(不思議な金具)

2007年08月28日

芝川ビルをご案内する機会も珍しくなく、日頃から、細かい部分まで見落とすまい!と目を皿のようにして建物を眺め回している・・・つもりなのですが、見学に来られた方から、「これは何ですか?」とご質問をいただいて、はっとさせられることも多々あります。 今回の「建物語」では、来訪された方からのご指摘によって気づかされた、屋上テラス壁面の“ある金具”について探ってみようと思います。 問題の金具はこちら。 4階ポ...

芝川ビルの改修工事 屋上編Ⅲ(ポルティコの再生)

2007年07月02日

この度の工事の最大の懸案は、真四角に切り取られてしまった4階ポルティコのアーチの復元でした。(参考:芝川ビルの改修工事 屋上編〓) まず、残っていたアーチの下部と昔の写真から大体のアーチの大きさを割り出します。当初、半円形にアーチの型を取りますが、下部に残っている部分とずれが生じることから、このアーチはきれいな半円ではない事がわかります。 鉄骨でアーチの形を組み、鉄筋とリブラス(モルタル塗りの下地...

芝川ビルの改修工事 屋上編Ⅱ(屋上テラスの再生)

2007年06月12日

増築部分を撤去してみたものの、随分と様変わりしていた芝川ビル。竣工当時の屋上を撮影した2枚の写真を眺めながら、なんとかこのような魅力的な姿を取り戻したいという思いは募ります。 優先順位の高い部分から順次工事を始めますが、その内容は盛りだくさんで、様々な部分が並行して工事が行われました。工事項目別にその様子をご紹介していきましょう。 まずは、屋上テラス床のコンクリート撤去工事です。 屋上テラスの床に...

芝川ビルの改修工事 屋上編Ⅰ(増築部分解体、撤去)

2007年06月12日

この度の一連の改修工事において、最大の工事となったのが建物4階です。 工事の様子を見る前に、まずは竣工当時の4階にタイムスリップしてみましょう。 こちらが屋上テラス。 芝川ビルの竣工は昭和2(1927)年ですが、周囲にはまだ高い建物が殆どありません。 ポルティコ(柱廊)より屋上テラスを望む。 芝川ビル完成の記念撮影でしょうか?写真のアングルも素敵です。 4階の部屋(現401号室)は、当時の図面では...

芝川ビルのデザイン・ソース

2007年06月12日

芝川ビルは、豊かな装飾に覆われた建物ですが、そのデザインはとても独特です。特に、1階103号室などは息を呑む濃密さで、これまでご覧になった多くの人々を絶句させてきました。しかしながら、実は、この装飾の様式について、あまりよくわかっていないところも多いのです。 芝川ビルの建築様式について、芝川ビルの施主・芝川又四郎の回顧談「小さな歩み」には、「私の趣味から、古代メキシコ、マヤ族の装飾を加味した近代...

芝川ビルの改修工事 1階床工事編

2007年05月22日

芝川ビル1階の104号室は、地下室に次ぐ広い部屋です。 竣工当時は自家用事務室として使用されていました。 こちらの部屋も、部屋の中央を間仕切り壁で分割して使用されていましたが、2006年秋、長年入居されていたテナントさんが退去されたことから、部屋の中央の仕切りを取り除きました。すると、往時の噴水の一部(写真右手のタイル張りの台)が残っていることが判明。 中央の生物(カエル?カメレオン?)の口に指を...

芝川ビルの改修工事 地下室工事編

2007年05月22日

今年の1月より、芝川ビルの地下、1階、4階では、改修工事が行われました。 今回は、どのような工事が行われたのかを工事の画像を交えながらご紹介していきたいと思います。 まずは地下室から。 地下室は、木製間仕切り壁(下に掲載の平面図赤線部)で部屋を分割し、A室にはかつてレストランが入居していましたが、B室については物置となっており、壁にはベニヤがはられ、ほぼ「開かずの間」となっていました。 こちらが工...

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