芝川ビル「建物語」

「伏見食堂」の詳細

以前こちらのブログで「幻の『伏見町食堂』」と題し、芝川ビルの地下に食堂が計画されていたことをご紹介しました。

こちらの食堂、実際に営業されたかどうかは依然なぞに包まれたままですが、実は、その計画の詳細を窺うことのできる資料が存在することが判明!当時の事情を垣間見ることができるなかなか魅力的な資料ですので、さっそくご紹介していきたいと思います。


資料はその名も「芝川ビルディング地下室食堂プランニング(経営方法)」。芝川ビルの竣工前年である1926(大正15)年のものです。

これによると、どうやら芝川ビルでは地下の賃借人さんに食堂を経営してもらうことを考えてた模様。この資料はその食堂の経営方法を“細かく”規定したものなのです。


まず、食堂の名称は「伏見食堂」で、食堂部と喫茶部から成ります。


食堂部は、京都帝国大学(現・京都大学)付近の学生向け食堂からヒントを得たものらしく、芝川ビル周辺の商家の丁稚さん、手代さんを顧客ターゲットに想定。朝・昼・夕の三食を提供し、商家がそれぞれに炊事をすることの手間を省くことを「使命」としていました。

1種類の定食のみの提供で、「アルコホル」を含む飲料の販売はなし!定食は、主食のごはん+副食で、副食は和洋を問わず、朝食は15銭、昼食・夕食は28銭で提供するとのことでした。お得な「回数券」もあり、こちらを使えば昼食・夕食は25銭になったようです。

因みに営業時間は朝食が6:30-9:00、昼食が11:00-14:00、夕食が17:30-20:00。とにかく朝が早いので、コックさんは早起きが大変ですね!


次に、喫茶部は「一般民家」の「アフター・ヌーン・チー」を目的としていました。

その割に、営業時間は7:00-22:00…。これって「アフタヌーン・ティー」って言っていいの?という疑問はさておき、気になるメニューは以下の通りです。
トースト(バタ又ハジャム付)、紅茶、コーヒ、洋菓子1個、果物は各5銭。
アイスクリームは10銭。
カレーライス、シチューライスはお茶つきで各25銭。
既に現在の喫茶店にも引けを取らない、なかなかの充実ぶりではないでしょうか。


その他、食器は不潔でキズのあるものを使用してはいけませんとか、できる限り「セルフサーヴィス」として使用人数削減に努めることとか、中には男性と恋に落ちそうな妙齢の女性の雇用はNGという今では考えられないような規定まで!!


何はともあれ、やはり当時は“外食事情”が現代とは全く異なった時代。現在との違いに驚かされる部分もありますが、逆に現在に通じる部分も多く、あれこれと想像が膨らんでしまう「伏見食堂」。当時を御存知の方がいらしたら、是非お話をうかがってみたいものです。


■参考
千島土地株式会社所蔵資料G00963


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