芝川ビル「建物語」

塗装の威力

ここのところ、テナントさんのオープンが続く芝川ビル。お客様の出入りがあり、以前に比べて人目に触れることが増えて来る中で気になり始めたのが、塗装の剥落が激しく、汚れも目立つ共用部分の天井と壁面です。

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▲塗装前の壁・天井の様子。
 全体的に黄ばみ、所によって塗装面がパリパリと剥がれかけています。


芝川ビル81年の歴史の中で、当然、過去に何度か塗り直しは行われていたのですが、この度はできるだけ竣工当時に近い形での塗装を、ということで業者さんにも色々と調査をお願いしながら、建物共用部の壁面塗装の塗り直しを行いました。


作業の中で一番の問題となったのは、壁面の凹凸の有無です。写真からもおわかりいただけるように、芝川ビル共用部の壁面には凹凸のある塗装が施されていました(一部例外あり)。凹凸塗装の壁面は、他の近代建築でもあまり見かけたことがなく不思議に思っていたのですが、剥落部分の分析の結果、漆喰の上に、塗り上がりに凹凸ができる“マスチック塗装”が施され、その上から水性ペンキが塗布されたことがわかりました。

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▲躯体のコンクリートの上に①下地?(詳細不明)>②漆喰>③マスチック塗装。
 その上に更にペンキが塗布されています。

また“マスチック塗装”とは、昭和30年代の高度経済成長期、全国各地に公団住宅が建設されるあたりから一般的に使用されるようになった塗材であり、昭和2年の芝川ビル竣工時点での使用は有り得ないということも明らかになります。


こうして“カチオン”という下地材で凹凸を平滑にした上から“カシヌール”という塗材が塗布されました。“カシヌール”は漆喰を塗料化したもので、漆喰に比べて扱いやすく、むき出しの配管・配線への塗装が可能な優れものの塗材です。

作業途中、下地を塗り上げた直後の壁面にひび割れが入り、剥落が生じるといった不測の事態も発生。これは壁体のいたみが原因で、壁体を補強して塗り直すことにより問題は解決しました。それにしてもベース(壁体)がしっかりしていなければ、いくら表面(塗装)でごまかそうとしてもすぐにボロが出てしまう・・・というのは、何やら教訓めいたお話です。

暑さの中、冷房のない共用部分で職人さんが奮闘して下さった塗り上がりはこちら。

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正直なところ、これほど印象が変わるものとは思っていませんでした。
とにかく、明るい!のです。
と言っても、キンキラキンでまぶしいという感じでは決してなく、清潔感のあるやわらかい明るさ。

昔の人達が胸躍らせながら歩いたであろう、竣工したばかりの芝川ビルもきっとこんな感じだったのではないでしょうか。


■芝川ビル共用部塗装
施工:オーシンペイン株式会社


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